「鍼」と「針」の違い。注射が苦手な方に読んで欲しい話
- コラム
・鍼灸に興味はあるけれど、痛そうで一歩を踏み出せない
・注射が苦手なので、鍼なんてとても無理だと思っている
・「痛くありません」と言われても、正直まだ信じられない
このような悩みのある方に向けて書いています。
「鍼灸に興味はあるけれど、あの痛そうな見た目がどうしても」
そんな声を、これまで何度もいただいてきました。
こんにちは。
南風鍼灸院 院長の岩永です。
鍼灸に関心を持ってくださる方は年々増えています。それでも実際に足を運ぶまでには、なかなか時間がかかるものだと感じています。
その一番の理由が「痛そう」という不安ではないでしょうか。
ただ、ここでひとつお伝えしたいことがあります。
私たちが使う鍼と、注射の針は、まったく別の道具です。混ざってしまいがちですが、目的も、形も、感覚も違います。
このコラムを読み終える頃には、これまでのイメージが少し変わっているかもしれません。ぜひ最後まで読んでください。
【筆者プロフィール】
院長 岩永 将弥 取得免許:国家資格 はり師免許 / きゅう師免許
役職:福岡県 鍼灸マッサージ師会理事 等
5年間、高知県で鍼灸師として修行。2013年3月 福岡市で南風(まぜ)鍼灸院を開院。
開院より13年、毎月 200名の方に施術頂ける鍼灸院になりました!
「来た時よりも笑顔に」をテーマに、来院された方が心身ともに元気になって頂きたいとの強い思いで施術しています。
なぜ「鍼は痛い」と思われるのか
「はり」と聞いて、まず何を思い浮かべますか。
多くの方は、注射の針か、縫い針だと思います。どちらも「はり」と読みますので、イメージが重なってしまうかもしれません。
そして注射も縫い針も、たいていは痛かった記憶とセットになっています。
予防接種、採血、指に刺してしまったとき。思い浮かべると、まず痛みのほうが先に浮かんでくるのではないでしょうか。
多くの方は、鍼灸そのものが怖いというより、別の道具の記憶を鍼に重ねているのだと思います。漢字にも、その名残があります。
- 針:縫い針から注射針まで含む、広い意味の言葉
- 鍼:東洋医学で用いるはりを表すときに使われてきた字
国家資格の名前も「はり師」であって、注射を扱う資格ではありません。
注射の針と、鍼灸の鍼。形が違う理由は役割の違い
【注射の針】
- 薬を体の中に届けるための道具
- 液体を通す必要があるので、内側が空洞になっている
- 薬やワクチンを体の中に確実に届けるという大切な役目のため、先端が斜めに鋭くカットされている
【鍼灸の鍼】
- 体の中に何も送り込まない
- 内側が空洞ではなく、中は詰まっており先端にも丸みがある
- だから皮膚を切って進むのではなく、組織のあいだをかき分けるように入っていく
同じ「はり」でも、目的が違えば形も違う。そして痛みの感じ方の差は、太さよりも構造の違いから生まれているのだと考えられています。
「痛そうだ」と感じるのは自然なことです。ただ、その痛みのイメージは注射の針の形からきているものであり、鍼灸の鍼にそのまま当てはまりません。
東洋医学のはりは、何かを「入れる」道具ではない
東洋医学では、体のめぐりを整えることを大切にします。
鍼は、何かを注入するための道具ではなく、めぐりを整えるきっかけを、体にそっと伝えるための道具です。
そのため、深く刺さなければならない理由がありません。ここが注射との1番の違いだと思っています。
そして当院では、ほとんど「刺しません」
ここまで「鍼と針の違い」をお話ししてきましたが、当院の施術は、さらにその手前にあります。
当院で採用しているのは、散鍼(さんしん)と皮膚鍼(ひふしん)という手技です。どちらも鍼を皮膚の奥まで刺し入れず、表面に触れる程度の刺激で行います。片手に鍼を持ち、もう片方の手でマッサージをするように施術していきます。
刺激がとても少ないため、施術の途中で「今、鍼をしていますか?」とお尋ねになる方もいらっしゃいます。
「鍼は痛いのか、痛くないのか」——このコラムを読んでくださっている方が一番知りたいのは、そこだと思います。当院の施術は、痛みを感じにくい手技を選んでいるとお答えしています。もちろん感じ方には個人差がありますので、敏感な方がまれに刺激を感じることもあります。
それぞれの手技については、別のコラムで詳しくご説明しています。
▼ 皮膚鍼と散鍼について詳しく知りたい方はこちら
「痛みや副作用がほとんどない鍼治療「皮膚鍼」と「散鍼」」
▼ 鍼治療の副作用が気になる方はこちら
「鍼治療の副作用と、副作用がほとんどない散鍼治療のすすめ」
実際に施術を受けられた方の感想は【お客様の声】で紹介していますので、あわせてご覧ください。
施術を迷われている方へ
それでもやはり不安な方はいらっしゃると思います。
当院では、初めての方にいきなり施術を始めることはありません。
まずはお話をうかがい、脈診や触診でお体の状態を確かめるところから始めます。今どこに負担がかかっているのかを一緒に確認したうえで、その日の施術内容を決めていきます。
もし施術中に「怖い」「これは苦手だ」と感じられたときは、遠慮なくおっしゃってください。我慢して受けていただくものではありませんし、加減はいくらでも調整できます。
実際の散鍼の施術の様子を公開しています。手元の動きを見ていただくと、想像されているものとは少し違うと感じられるかもしれません。
最後に:怖いのは、知らないからかもしれません
「はり」というひとつの言葉が、まったく違う道具を指していた。
そのことを知らないままでいると、注射の記憶がずっと足を止めてしまいます。実際にお越しくださった方から「思っていたものと違いました」というお声をいただくたびに、伝わっていないことがまだたくさんあるのだと感じます。
鍼灸は、体が本来持っている力を高めるお手伝いをするものだと私は考えています。私の力で治すのではなく、その方の「治ろうとする力」に働きかけていく。だからこそ、強い刺激で無理をさせる必要はありません。
痛みが不安で迷っていらっしゃるなら、まずはその不安ごとお持ちください。
「来られた時より笑顔に」。それが、私が施術で一番大切にしている言葉です。
南風鍼灸院 院長 岩永将弥





