【うつ病の改善】心身のバランスを整える鍼灸治療の力を徹底解説
- コラム
「最近、元気がほとんどない」
「無気力な感情が続いている」
その原因はうつ病の前兆かもしれません。
うつ病の前兆には以下のような精神的・身体的な症状があります:
- 精神的な症状:気分が強く落ち込む・憂うつになる・やる気が出ない
- 身体的な症状:眠れない・疲れやすい・体がだるい
日本人では15人に1人がうつ病を経験しており、深刻な社会問題となっています※1。
また、気分障害の患者数は100万人で、特に女性が男性より1.6倍多いという結果が示された調査結果がありました(厚生労働省「患者調査」)。
この調査結果は、病院を受診していない人は含まれておらず、その実態はさらに多くの方が気分障害で悩まれていることを示唆しています。
うつ病の原因は多岐にわたり、心理的なきっかけや脳や身体の疾患、季節の変化などが影響します。
特に冬場には、日照時間の減少や季節性情動障害、長期休暇によるストレス、活動の低下などが、うつ病を引き起こす要因となり得ます。
そんなうつ病でお悩みの方から、いま注目を集めているのが東洋医学の『鍼灸治療』です。
このコラムでは、
- うつ病の症状と原因
- 西洋医学から診るうつ病
- 東洋医学から診るうつ病
- うつ病に効果のある鍼灸治療
について解説していきます。
「憂うつで気分が晴れない」とお悩みの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
*1 厚生労働科学研究費助成こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」
【筆者プロフィール】
院長 岩永 将弥 取得免許:国家資格 はり師免許 / きゅう師免許
役職:福岡県 鍼灸マッサージ師会理事 等
5年間、高知県で鍼灸師として修行。2013年3月 福岡市で南風(まぜ)鍼灸院を開院。
開院より10年、毎月 200名の方に施術頂ける鍼灸院になりました!
「来た時よりも笑顔に」をテーマに、来院された方が心身ともに元気になって頂きたいとの強い思いで施術しています。
目次
うつ病の症状はどんなものがあるのか
うつ病の症状は、精神的な症状と身体的な症状があり、重症度合いによって異なります。
持続的な憂鬱感
日常生活において、楽しみや喜びを感じることが困難になる
無気力感
以前は楽しめた活動に対する興味や意欲が失われる
睡眠障害
過剰な睡眠、または不眠になる
食欲の変化
食欲が減退し、体重が減少、または食欲が増加する
集中力の低下
仕事や日常生活における集中力が低下する
自己肯定感の低下
何事も無価値に感じる、または罪悪感に苛まれる
自殺念慮
極端な場合、自殺を考えるようになる
などが挙げられます。
うつ病の主な原因
うつ病の原因には、様々な要因が組み合わさることによって引き起こされ、精神的にも身体的にも症状が現れます。
具体的な例として、以下のような要因によって、うつ病を発症する可能性が考えられます。
■脳や身体の疾患
- 脳出血や脳梗塞などの障害
- 認知症の初期
- アルコール依存症
- 薬による副作用
- 出産後
■心理的なきっかけ
- 近親者の死
- 離別
- 大災害など第三者にもわかる出来事
- 結婚・昇進・転居のような喜ばしい出来事
■原因が特定できない事例
- 心理的なきっかけや日常的な出来事がなくても発症することがある
- 秋や冬の季節の変わり目
特に、冬場にはうつ病が増える傾向にあります。
※冬にうつ病が増える要因
- 日照時間の減少
日照時間が短くなり、日光不足がセロトニンの減少を引き起こし、気分の低下につながる - 季節性情動障害
冬に特有のうつ病の形態で、季節の変わり目、特に冬に発症する - 長期休暇によるストレス
年末年始の忙しさや、家族との関係に関連してストレスが蓄積される場合がある - 冬期の活動低下
寒さにより屋外活動が減少し、運動不足が気分の低下を招くことがある など
これらの要因が組み合わさることで、うつ病の症状が悪化する可能性があります。
うつ病の治療法
近年、うつ病が深刻な社会現象となり、多くの治療法が研究されてきました。
西洋医学と東洋医学の観点から、うつ病の定義と治療法について解説します。
西洋医学から診るうつ病
西洋医学の定義では、
- 脳内の神経伝達物質の不均衡
- 神経生理学的変化
などと関連付けて、うつ病を理解しています。
症状の診断は、患者の自己報告と臨床評価に基づいて行われます。
診断基準には、気分の低下、興味喪失、体重変化、睡眠障害などの特定の症状が含まれます。
■主な治療法
- 薬物療法
一般的には、抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)が処方される。これらは脳内のセロトニンやノルエピネフリンの量を調節して気分を安定させて治療を行う - 心理療法
認知行動療法(CBT)や人間関係療法(IPT)などが一般的で、患者の思考パターンや行動を変化させる治療を行う - その他の療法
精神教育、支援グループ、運動療法、ECT(電気けいれん療法)などを用いた治療法もある
東洋医学から診るうつ病
東洋医学の定義では、うつ病を単なる精神的な症状ではなく、
- 体全体の気の流れの乱れ
- 陰陽の不均衡
- 五臓(心、肝、脾、肺、腎)の不調和
として捉えます。
これらの要因により、心(精神的要素)と身体(物理的要素)の両方に影響を及ぼし、様々な症状を引き起こすと考えられていまます。
■東洋医学の治療法
- 鍼灸
体の特定のツボを刺激して気の流れを改善し、心身のバランスを整えて症状を緩和する - 漢方薬
個々の患者の体質や症状に合わせて選ばれた薬草を用いて、身体のバランスを調整する - 気功や太極拳
精神と身体の調和を促進するための運動療法として活用される - 食養生
食事を通じて気の流れを整え、心身の健康をサポートする
最近のうつ病治療には、東洋医学の『鍼灸治療』に注目が集まり、西洋医学が主流のアメリカやヨーロッパでも多くの事例が増えてきました。
次に、『うつ病に効果のある鍼灸治療』について、詳しく解説していきます。
うつ病に効果のある鍼灸治療
鍼灸治療は、身体の特定のツボに微細な鍼を刺入することにより、体内の気の流れ(経絡)を調整し、自然治癒力を向上させることで、様々な疾患を治療することを目的としています。
当院では、痛みや内出血が少ない『散鍼(さんしん)』と呼ばれる手技を採用しており、鍼灸治療が初めての方にも安心して施術を受けて頂けます。
鍼灸治療で期待できる効果
- 自律神経のバランスの調整
自律神経系の調整を通じて、不安やストレスを軽減し、心の安定を促進する - 全身の調和
自然治癒力の向上により全身の健康を促進し、うつ病に関連する身体的な症状(疲労感、睡眠障害、消化機能の回復など)を同時に改善する - リラクゼーション効果
うつ病の原因になりやすい、精神的ストレスを緩和する
鍼灸治療のメリット
- 個別アプローチ
患者の個々の体質や症状に合わせて、施術内容を調整して治療を行う - 副作用の少なさ
薬物療法と比較して、副作用が少なく、長期間の治療でも安全性が高いとされている - 長期的な健康改善
症状の一時的な緩和だけでなく、自然治癒力の向上により長期的な健康を増進させる
うつ病に効果のある代表的なツボ
- 百会(ひゃくえ)
位置:頭の頂点、両耳の上端を結んだ直線上の部位
効果:精神の安定に効果的で、ストレスや不安を軽減する - 四神聰(ししんそう)
位置:頭部の側面、髪の生え際に位置する一連の部位
効果:精神の安定に効果的で、うつ病に伴う思考の混乱や集中力の低下を改善する - 足三里(あしさんり)
位置:膝の下、脛骨の外側の部位
効果:全身の気の流れを促進し、体力の回復と精神的なエネルギーを高める - 神門(しんもん)
位置:手首の内側、小指側のくぼみに位置する部位
効果:心の緊張を和らげ、不安やストレスを軽減する - 肝経(かんけい)のツボ
位置:足の内側の部位
効果:感情の調整に有効で、怒りやイライラなどの感情を和らげる - 三陰交(さんいんこう)
位置:内くるぶしの上、脛骨の後ろ側の部位
効果:全体的なホルモンバランスを整え、ストレスやうつ病の症状を軽減する
これらのツボは、うつ病に関連するさまざまな症状に対処するために用いられます。
まとめ:心身のバランスを整える鍼灸の力
コロナ渦を機に、うつ病で悩む患者数が増加しており、深刻な社会問題となっています。
うつ病の治療では、薬物療法が主流になっていますが、副作用により治療の継続が難しいという問題がありました。
そんな悩みのある方に、ぜひ試して頂きたいのが『鍼灸治療』です。
鍼灸治療は、心と体のバランスを整えることにより、自然治癒力を高め、うつ病治療に効果が期待されています。
当院では、痛みやダウンタイムが少ない『散鍼(さんしん)』を採用しており、鍼灸治療が初めての方にも安心して施術を受けて頂けます。
「来た時よりも元気になったよ」と言っていただけるように、誠心誠意の対応を心がけております。
うつ病と診断されていなくても、「最近気分がすぐれない」とお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
南風鍼灸院 院長 岩永将弥